『蟹工船・党生活者』

taishiho2008-05-28

新潮文庫
著者: 小林多喜二/著
出版社名 新潮社
発行年月 2003年06月
価格 420円(税込)
80年近く前の本が今年、突然売れ出した。何故だろう?
小林多喜二の『蟹工船』という名前は知っていたが読んだことがなかった。
ちょうど500円の図書カードがあったので、これを機会に読んでみることにした。

蟹工船
出典:(Wikipedia
蟹工船(かにこうせん)は、1929年に小林多喜二が発表した小説。いわゆるプロレタリア文学の代表的佳作とされ、国際的にも評価されて各国語に翻訳されている。

この小説には特定の主人公がおらず、蟹工船にて酷使される貧しい労働者達が群像として描かれている点が特徴的である。蟹工船「博光丸」の元になった船は元病院船の博愛丸である。

[あらすじ]
カムチャツカの沖で蟹を獲りそれを缶詰にまで加工する蟹工船「博光丸」。それは様々な出自の出稼ぎ労働者を安い賃金で酷使し、高価な蟹の缶詰を生産する海上の閉鎖空間であり、彼らは自分達の労働の結果、高価な製品を生み出しているにも関わらず、蟹工船の持ち主である大会社の資本家達に不当に搾取されていた。情け知らずの監督者である浅川は労働者たちを人間扱いせず、彼らは懲罰という名の暴力や虐待、過労と病気(脚気)で倒れてゆく。初めのうちは仕方がないとあきらめる者もあったが、やがて労働者らは、人間的な待遇を求めて指導者のもと団結してストライキに踏み切る。しかし、経営者側にある浅川たちがこの事態を容認するはずもなく、帝国海軍が介入して指導者達は検挙される。国を、すなわち国民を守ってくれるものと信じていた軍が資本家の側についた事で目覚めた労働者たちは再び闘争に立ち上がった。


[再脚光]
作者の没後75年にあたる2008年、新潮文庫蟹工船・党生活者』が古典としては異例の27000部を増刷、例年の5倍の勢いで売れ、5月2日付の読売新聞夕刊一面に載った。若者、特に就職氷河期世代に人気である。就職氷河期世代の多くは非正規雇用などの不安定労働者であり、ワーキングプアも少なくない。一流大学を出ても就職ができずに苦しんでいる者もおり、小林多喜二の捉えた世界観は今日の若者の現状と通じるものがあることを示している。しかし一方で日本の現状と、本作の内容が共感され得るほど類似していないという意見もある。


『蟹工船』:(青空文庫)