『雨にぬれても 』

taishiho2006-10-06


上原隆著 幻冬舎   2005年4月発行

冒頭に、僕の大好きな映画「明日に向って撃て!」の主題歌
「雨にぬれても」(これも大好きな曲)の歌詞が書いてある。
上原隆も、きっと音楽好きな人なのだろう。
エジプト人の彼」という文章は、7年前に書いた「容貌」の続編である。
その後どうしただろうと気に掛かっていたので、これは嬉しい。
「デート」は妻と離婚して生きる意欲を失いつつある男と
夫を癌で亡くし二人娘が結婚してひとりになってしまった女がデートするお話。
これは、めずらしく希望の持てる明るい終わり方をしていたので胸が熱くなった。
僕は、生きる意欲を失いつつある人がでてくると、何故か共感してしまう。
僕がいつも生きる意欲を失っているという訳ではないのだが、そういう瞬間はある。
だから、そんな人に希望を持てることが訪れると、自分のことのように嬉しい。
ここに出てくる人たちは作られた人ではなく、実際に今生きている人たちである。
この瞬間も、同じ地球の上で同じ時を過ごしているということに現実の重みを感じる。


アルコール依存症で兄を亡くした弟、
二人で頑張っていたが社長に自殺された女性、
戦争中、学校に行けず夜間中学で字を学びなおす六十九歳の老人、
家族を捨てホームレス生活をしながら夢を追い続ける四十二歳のお笑い芸人。
人々の「生きる」姿にきっとあなたも励まされる。
思わず涙が出て心がスッと軽くなるコラム・ノンフィクション待望の第三弾。

[目次]

墓まいり
夜間中学
結婚相談所
オーディション
家族
エジプト人の彼
お金
リクルート・スーツの孤独
デート
日本で最初の女性映画監督[ほか]

beatleさんが以前ブログでとりあげていました。beatleさん御紹介ありがとうございます。
 こちらにリンク貼らせていただきます。