『忘れられない声』


時は過ぎていっても、この声だけは忘れられません。

「早く逃げてください」−−。
街全体が津波にのみ込まれた宮城県南三陸町は、
町役場が跡形もなくなるなど壊滅した。
多くの町職員や警察官、消防職員が行方不明となったが、
その中に津波に襲われるまで
防災無線放送で住民に避難を呼びかけた女性職員がいた。
未希(みき)さん(25)は町危機管理課職員。
地震後も役場別館の防災対策庁舎(3階建て)に残り、無線放送を続けた。
地震から約30分後、高さ10メートル以上の津波が町役場を襲った。