今日はぐんま版画協会の総会、勉強会、懇親会と盛り沢山。
勉強会はソーラープレート制作の実演です。
昔、子供の頃にやった日光写真を思い出します。
これは酸を使うことなく手軽に本格的なエッチングができる
これから世界的に広まるであろう最新の版画技法です。
[新技法ソーラープレート版画体験入門]・・・中山隆右
日本にソーラープレートを紹介し広めている私の多摩美の同級生の久保卓治(版画家)
に学びたてのソーラープレート体験報告、技法紹介いたします。
ソーラープレートとは印刷用途の感光性樹脂板のことであり
アメリカの版画家、ダン・ウェルデンが1972年頃にこの素材に注目
ソーラープレート版画とは感光性樹脂板に紫外線、光を当てて凹版を作る版式。
シルクスクリーンの感光法と銅版画の技法とが組み合わさったようなもので
樹脂板を使って凹版に製版されるので、刷りはプレス機を使い印刷する版画です。
(反対に凸版に製版することも出来ます。)以下に制作工程を記します。
●ポジ作り
シルクスクリーン版画と同じようにポジフィルムを制作
マットフィルムに描画をすればリトグラフのような表現、
ペンを使って線描するとエッチングのような表現が出来る。
今回はOHPフィルムにコピーしたポジを持参しました。
※ソーラープレートはアクリル板カッターで必要なサイズに切断し使用
プレートの保護フィルムをはがしベビーパウダーをコーティングして製版の準備をする。
●露光
今回は、階調のある原稿でしたのでこの場合は、二重露光が必要となり
アクアチントスクリーンなるスクリーンをソーラープレートに密着させ1分30秒露光
次にポジをソーラープレートに密着させもう一度露光2分〜3分。
(ケミカルランプボックスを使用)
※露光には日光、露光器によっても違いが出るのでデーターを取る必要があります。
●製版
ソーラープレートは製造された状態では、水に溶ける性質があるので露光、
紫外線が当たらなかった部分は濃度の度合いにで水に溶けるので水を少しずつ
注ぎながら靴ブラシで版全体をこすると水に溶けて流れて凹部が出来上がります。
※新聞紙にはさんで水を取り、乾かす
●印刷
刷りは、銅版画を印刷する時と同様に紙は湿してから使用。
ソーラープレートの四辺は、きめ細かなサンドペーパーで45°程度に面取りし
後は銅版画の刷りと同様にゴムローラで版にインクを盛り、スキージやヘラで
しっかりインクをつめ、荒ぶき・仕上げぶきをして刷りに入ります。
仕上がりは銅版画のように仕上がります。
以上がソーラープレート版画の工程です。
※全体を通して
階調のあるポジの場合は、アクアチントスクリーンなる調子を作るための
フィルム状のスクリーンが必要となります。実際に作業をしてみると、
日光や紫外線ライトで数分間露光することで、従来の銅版画やリトグラフ、木版な
どと違い特殊なテクニックがなくても簡便で短時間に作品を作ることが出来ました。