『天国と地獄』『生きる』

taishiho2007-09-07

テレビで『天国と地獄』と『生きる』を放送するそうです。
『天国と地獄』は9月8日(土)夜9時からテレビ朝日で。
佐藤浩市(権藤金吾役)
阿部寛(戸倉碧刑事役)
鈴木京香(権藤伶子役)
妻夫木聡(竹内銀次郎役)
伊武雅刀(田口刑事役)

『生きる』は9月9日(日)こちらも夜9時からテレビ朝日で。

黒澤映画では志村喬がやっていた主演を松本幸四郎がやります。
(詳しくはそれぞれ、タイトルにリンクをはりましたのでどうぞ。)
さて、観てのお楽しみです。御覧になった方はご感想を御聞かせ下さい!

『天国と地獄』
1963年に公開された「天国と地獄」はエド・マクベイン原作の小説「キングの身代金」をもとに製作。横浜の高台に豪邸を構える製靴会社重役・権藤の息子が誘拐されるが、犯人は間違えて権藤の運転手の息子を誘拐。権藤は使用人の息子を救うため、地位も名誉をも投げ打って身代金3000万円を支払い子供を無事取り戻す。やがて戸倉刑事らの執念の捜査が実り犯人が逮捕されるのだが、彼は天国のような高台にある権藤の豪邸を見上げながら屈折した思いを抱えていた…。
 身代金受け渡しのトリック、犯人逮捕までの刑事たちのきめ細かい捜査などサスペンスとしても上質ではあるが、高度経済成長の黎明期でもあった時代を背景に人間の内面の業にも鋭く迫った人間ドラマとしても高く評価された傑作だ。

※今TVドラマで活躍中の佐藤浩市阿部寛鈴木京香妻夫木聡伊武雅刀が出てきてそれなにり楽しめました。佐藤浩市はお父さんほどの重みはありませんが、それでも渋い味わいのあるいい役者だと思います。刑事役の阿部寛の大きな眼は仲代達矢を彷彿とさせて、きびきびとした動きもよかったです。今人気の妻夫木聡山崎努とは全然違ったキャラクターですが、彼の持ち味を生かした現代的な悪役像を創り出していたと思います。それぞれ役者の個性を楽しめる作品だったとは思います。ただ、CMに同じ役者が出てきて興醒めしました。CMを編集でカットしてから観る事をお勧めします。

『生きる』
1952年に製作された映画「生きる」は、数ある黒澤映画の中でもヒューマニズムの頂点に達したと言われる名作。日々無気力に過ごしてきた市役所課長・渡辺勘治は胃がんで余命いくばくもないことを知らされる。絶望の果てに奔放に生きる部下の若い女性・とよに刺激を受けた勘治は、無意味に感じていた市役所で「生きる」ことの意味を見出す。
 当時の社会批判を巧みに取り入れながら、一人の平凡な初老の男が死を前にして懸命に生き、人生を燃焼し尽くす姿は現在も見る者の心を大きく揺さぶり続ける。
 主人公の勘治を演じた故・志村喬は絶賛され、公園のブランコに乗りながら「ゴンドラの唄」を口ずさむシーンは、日本映画史上に残る屈指の名シーンとして語り継がれている。
 1953年度のベルリン映画祭において銀熊賞を受賞。トム・ハンクスを主演にハリウッドでリメイクも予定されている。

※本当の意味で「生きる」とはどういうことなのか。それは僕自身がいつも考えていることでもあります。そのテーマをとりあげてくれた黒澤明に感謝します。この作品の本当に言いたいところは、主人公が亡くなってから始まるという演出がよくできています。主人公は自分が亡くなる半年前に、今までの自分は生きていなかったことに気付き、そこからりっぱに本当の意味で生きることができたのだから幸せだったと思います。この映画を観た人が、そのテーマを自分のこととして考えてくれれば、きっと成功だと思います。