『鎮守の森』

taishiho2011-05-23

(新潮文庫) [文庫]
宮脇 昭 (著)
価格: ¥ 380
TBSのラジオ番組「久米宏のラジオなんですけど」で紹介されたゲストの宮脇昭さん(植物生態学者)は、その土地に本来育つ「本物の森」をつくることを83歳の現在も実践していらっしゃいます。

地震でも倒れず,火をさえぎった土地本来の樹木。今こそふるさとの鎮守の森再生をすべきだと説く
阪神・淡路大地震後調査した植物学者の著者は,予想が当たっていたことを確認する。すなわち神社の森は鳥居や社殿が崩壊しても倒れていなかった。さらに著者のいう潜在自然植生の木(その土地に最も合った木)は,防火の役目も果していたのだった。
日本の国土は60%が森林に覆われているが,今やスギやヒノキなどの生態系を無視した森林ばかり。かくして森はジャングル化し,スギ花粉症のような2次災害まで引き起こす。それに対し,昔からある鎮守の森の生態系はみごとだ。土地にあって自生できる木が高木から低木,草木まで複雑で合理的なシステムを作り,伐採や管理をしなくても豊かでみごとな林を形づくり,しかも人々を地震や火災から守っている。
世界規模の森林破壊や地球温暖化が加速する現在、きびしい自然環境に耐え、かつ大災害にも負けない森を再生することが緊急の課題となっている。83歳の今まで、その土地固有の植生を割り出しながら、国内外でじつに3000万本を越す植樹活動を続けてきた植物学の世界的権威が、人々を守り、育てる「鎮守の森」の可能性を通して、地球をあと千年生かすための道を指し示す。