その時、僕は版画を摺っていた。
並みの揺れ方ではなかった。すぐにストーブを止めた。
立てかけてあった大き目の額は全部倒れた。
積んであった小さい額も床一杯に散らばり足の踏み場がなくなった。
ラジオが災害時の緊急放送に変わった。
この辺は震度6弱らしい。その後も余震が続く。
妻と息子が、停電で動かなくなった会社から帰ってきた。
TVで災害の様子を観る。
コンビナートの炎上、爆発。土砂に生き埋め。
地震で家屋が壊され、津波で町の全てが無くなってしまった。
電車は全てストップ、駅が仕事帰りの人たちで溢れかえる。